台本はさっさと手放そう

初めて台本を外すときは緊張する。恐怖で外すタイミングも分からなくなるくらいだ。

お芝居の台本だけでなく、電話のトークスクリプトや、大勢の前で話すときのカンペのようなもの、楽譜なども含む。

会社では、電話でうまく話せるかどうか常に不安で、ずっとスクリプトを見ながら話していた。

きっちり説明して質問に答えて・・・というよりは、コミュニケーション目的の電話なので、スクリプトを作らなくても問題はない。

それでも、話そうと思ったことや想定される質問は、すべてリストアップして、文章としてあらかじめ準備していた。

常に「もしこんなことが起きたらどうしよう」「ちゃんとできなかったらどうしよう」という不安が付きまとっていたのだ。

全部でなくても、最初の「いつもお世話になっております。株式会社〇〇です。」の部分だけでも、絶対に文字を見ながら話さないと不安で仕方なかった。

数年名乗りつづけた社名と、入社して数か月の社名。

まだまだ前職の社名のほうが浸透しているような気がして、「間違えたらどうしよう」という恐怖との戦いでもあったのだ。

先日、いつも通りの段取りで準備をしていなかったために、スクリプトを手元に置かずに電話をかけてしまい、気づいたときには先方に繋がってしまった。

もう遅いから仕方ない!と、スクリプトなしで話しはじめたのだが、社名を間違えることはなく、その後もどんどん言葉が出てきて、スクリプトを見ていたときよりも話が盛り上がって楽しかった。

これはちょっと衝撃だった。

・「やるしかない」と思ったらちゃんとできる
・さすがに社名は覚えている
・学んだことは覚えている
・文字にとらわれすぎると話がつまらなくなる
・思っているほど悪いことは起きない

何も恐れることはなかった。

ずっとスクリプトを見ていたら、ますます見るのをやめるタイミングを失っていたかもしれない。

型にはまった話し方を続けていたら、これからも形だけのやりとりになってしまうかもしれない。

もっと自分を信じて、堂々と話しても大丈夫なんだと気づいた出来事だった。

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末光 咲織

末光 咲織

東京都在住の会社員。文章を書くこと、音楽、演劇、ラジオが好き。周囲から否定される数々の経験が元となり、成長するにつれて感情を思うように表に出せなくなる。自分の人生なのに、自然と「裏方」になろうとしていたことに気づき、2016年の冬、生き方を変えようと決意する。本当はもっと表に出て、自分の思いを表現することで生きていきたい。将来的には、会社員+個人事業主として活動したい・・・と思っている。
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